ADDAC304 Manual GatesとADDAC305 Manual Latchesの解説シリーズ EP.1です。今回は、ADDAC System公式動画「ADDAC304 & ADDAC305 Manual Gates and Latches」に沿って、この2つのモジュールの基本的な違いと、パフォーマンスでの使いどころを整理します。
どちらも8つのボタンと8つの出力を持つ、手でGateを作るためのユーティリティモジュールです。ADDAC304は、ボタンを押している間だけ+5Vを出力するモーメンタリタイプ。ADDAC305は、ボタンを押すたびにON/OFFが切り替わり、ONの間だけ+5Vを出力するラッチタイプです。さらに、どちらのモジュールも4チャンネル分は入力を備えており、外部から入れた音声信号やCVを手動スイッチで通せます。
- 2つのモジュールの基本動作
- 2/4/5/7番チャンネルの入力
- シーケンサーのスタートを手で作る
- リセットと単発トリガー
- フィルターやエフェクトを一時的に動かす
- ラッチでドラムや状態をONにする
- 方向、ディケイ、ランダム電圧への応用
- どちらを選ぶか
2つのモジュールの基本動作
ADDAC304とADDAC305は、パネル構成がかなり近いモジュールです。どちらも8つの出力を持ち、それぞれのボタン操作に応じて+5VのGateを出力します。
違いは、ボタンがどのように状態を保つかです。ADDAC304は、押している間だけ出力がHIGHになります。ボタンから指を離すと、出力はLOWに戻ります。ADDAC305は、1回押すと出力がHIGHになり、もう1回押すまでその状態を保ちます。
この違いにより、ADDAC304は「その瞬間だけ何かを起こしたい」操作に向きます。サンプルを鳴らす、エンベロープをトリガーする、短いフィルター変化を作る、といった使い方です。
ADDAC305は「状態をしばらく保ちたい」操作に向きます。ドラムトラックをミュート/アンミュートする、シーケンサーの方向やリセット状態を切り替える、一定時間だけ別のCVを混ぜる、といった使い方が考えやすいです。
2/4/5/7番チャンネルの入力
両モジュールには、8つの出力のうち4つに対応する入力があります。対象は2/4/5/7番チャンネルです。動画内の説明では、入力に信号が入っていない場合は通常の+5V Gate出力として動作し、入力に信号を入れた場合は、その信号を手動スイッチで出力へ通す、という構成として紹介されています。
ここで通せる信号は、GateやCVだけではありません。動画のカードでは、これらのスイッチは音声信号とCVの両方で使えるものとして説明されています。
ADDAC304では、ボタンを押している間だけ入力信号が通ります。これは、普段は閉じている手動ゲートを、必要な瞬間だけ開けるような動作です。入力に何も挿していない場合は、そのチャンネルも通常どおり+5V Gateを出力します。
ADDAC305では、ボタンを押してONにしている間だけ入力信号が通ります。こちらは、信号ラインのミュート/アンミュートスイッチとして使いやすい動作になります。入力なしの状態では、ラッチスイッチがONの間だけ+5V Gateを出力します。
シーケンサーのスタートを手で作る
動画のデモでは、まずADDAC304/305を使って、2台のシーケンサーを同時にスタートさせる例が示されています。
モジュラーシンセでは、クロックやリセットのような制御信号もCVとして扱います。そのため、手でGateを出せるモジュールがあると、演奏中に「ここから動かす」「ここで止める」といった操作を、パッチの一部として組み込めます。
ADDAC304を使う場合は、ボタンを押している間だけスタート用のGateが出ます。ADDAC305を使う場合は、ONにした状態を保てるため、シーケンサーのラン/ストップや、ゲート列の開閉に近い使い方がしやすくなります。
リセットと単発トリガー
続いて、手動Gateを使ってシーケンサーをリセットする例が出てきます。リセット入力を持つシーケンサーであれば、ADDAC304のボタンを押したタイミングで、パターンの先頭へ戻す操作を作れます。
同じ考え方で、エンベロープジェネレーターやサンプラーのトリガー入力にも使えます。動画では、手動Gateでエンベロープをトリガーして音を鳴らす例が示されています。
この用途では、ADDAC304のモーメンタリ動作が自然です。押した瞬間だけイベントを発生させられるので、演奏中のアクセント、クラッシュ、ワンショットサンプル、短いエンベロープなどを手で差し込めます。
フィルターやエフェクトを一時的に動かす
動画では、+5Vの手動Gateをフィルター入力へ送る例も紹介されています。ボタンを押した間だけフィルターを開く、というシンプルな使い方です。
このような使い方では、単にGateを出すだけでなく、入力付きチャンネルを使って別の信号を通すこともできます。たとえば、LFOやエンベロープを入力へ入れておき、ボタンを押している間だけそのモジュレーションを目的のモジュールへ送る、という構成です。
また、音声信号を入力へ入れておけば、ADDAC304を「押している間だけ音を通す」スイッチとして使えます。動画では、音声信号をディレイエフェクトへ一時的に送る例が出てきます。これはCVではなく音そのものをルーティングしている例で、入力付きチャンネルがオーディオにも使えることが分かりやすい使い方です。
ADDAC304であれば、一瞬だけエフェクトを深くするような操作に向きます。ADDAC305であれば、同じ変化をしばらく維持したい場合に扱いやすくなります。
ラッチでドラムや状態をONにする
ADDAC305のラッチ動作は、ドラムやクロックのような連続するGate列を扱う時に便利です。動画では、別のドラムをラッチスイッチで追加する例が示されています。
2/4/5/7番チャンネルの入力にシーケンサーのGate列を入れ、出力をドラムモジュールへ送ると、ADDAC305は手動ミュートスイッチとして働きます。ボタンがOFFならGate列は止まり、ONならGate列がそのまま通ります。
ボタンが光るため、ONになっているチャンネルを目で確認できる点も実用的です。複数のドラムやモジュレーションをまとめて扱う場合、現在の状態がパネル上で見えることは、演奏中の操作ミスを減らす助けになります。
方向、ディケイ、ランダム電圧への応用
動画の後半では、シーケンサーのDirection入力、エンベロープのDecayパラメーター、オシレーターへ送るランダム電圧など、よりパッチング寄りの例が続きます。
Direction入力のような制御先では、ADDAC305のラッチ動作が使いやすい場合があります。ONの間だけ逆方向へ進む、または別の動作モードへ切り替わる、というように、状態変化として扱えるためです。同じように、別のラッチスイッチをエンベロープのDecayパラメーター制御へ使えば、短い減衰と長い減衰を手元で切り替えるような操作も作れます。
ランダム電圧をオシレーターへ送る例では、入力付きチャンネルの役割が分かりやすくなります。ランダムCVの経路を普段は閉じておき、必要な時だけADDAC304で通す、またはADDAC305でONに保つ、という構成です。
どちらを選ぶか
ADDAC304とADDAC305は、どちらが上位という関係ではなく、手で作りたい操作の時間感が違うモジュールです。
ADDAC304: 押している間だけ動かしたい操作に向く
ADDAC305: 一度ONにした状態を保ちたい操作に向く
短いトリガー、瞬間的なエフェクト、手で叩くアクセントにはADDAC304が扱いやすいです。ミュート/アンミュート、状態の切り替え、しばらく続けるモジュレーションにはADDAC305が合います。
2つを並べると、一瞬だけ開くスイッチと、状態を保つスイッチを同じ場所にまとめられます。音を出すモジュールではありませんが、演奏中に「今だけ」「しばらく」「ここから」といった操作をパッチへ直接加えられる、かなりモジュラーシンセらしいユーティリティです。
EP.1はここまでです。今回は、ADDAC304 Manual GatesとADDAC305 Manual Latchesの基本動作と、公式動画で紹介されている使い方を整理しました。
この2つはTakazudo Modularでは結構人気商品のモジュールです。おそらく価格も低めなのと、様々なセットアップに気軽に入れられる、色々できそうという特徴があると思いますね。セットアップに一つ入っていると創造性が広がるモジュールだなと思いますので、色々使い方を想像してみると楽しいかと思います!
ADDAC304/ADDAC305 商品詳細
ADDAC304/ADDAC305の商品詳細は以下よりご覧いただけます。
手動でゲート信号を発生できるシンプルなユーティリティモジュール。複数のチャンネルを備え、ライブ演奏や即興的なパッチングに柔軟に対応する。

手動でゲート信号を発生できるシンプルなユーティリティモジュール。複数のチャンネルを備え、ライブ演奏や即興的なパッチングに柔軟に対応する。

ボタン操作によってラッチ状態を制御できるユーティリティモジュール。ゲート信号の保持や切り替えなどに便利なスイッチ機能を実現する。

ボタン操作によってラッチ状態を制御できるユーティリティモジュール。ゲート信号の保持や切り替えなどに便利なスイッチ機能を実現する。











