メインコンテンツへスキップ
4ms LEQAガイド EP.1: 公式チュートリアルで見るステレオ幅・EQ・コンプレッサー

ガイド: 4ms LEQAガイド EP.1: 公式チュートリアルで見るステレオ幅・EQ・コンプレッサー

著者: Takazudo | 作成: 2026/07/22

4ms LEQAガイドシリーズ EP.1です。今回は、4ms公式のチュートリアル動画「Leveling EQ Amplifier (LEQA) Tutorial」に沿って、LEQAの全体構成と、各ノブ・ジャックの機能を解説します。

Leveling EQ Amplifier(LEQA)は、パッチの最終段に置くことを想定したエンド・オブ・チェーン向けのプロセッサーです。ステレオ幅の調整、EQによる音色の補正、コンプレッサーによるダイナミクスの制御を14HPのモジュール1台でまかなえます。動画では、この3つのセクションを順番に取り上げながら、すべてのノブとジャックの働きが説明されています。

Takazudo個人としては、このモジュールはサウンドプロセッシングについて学びの多いモジュールであるように感じられます。

Takazudo Modularではマニュアル等の日本語訳付きを作成し、公開しています。以下よりご参照下さい。

全体構成

LEQAは、ステレオ幅プロセッサー、イコライザー、コンプレッサーの3つのセクションで構成されています。ステレオ幅プロセッサーは常に信号チェーンの先頭に置かれ、その後段の信号経路は2つのスイッチで切り替えます。

EQとコンプレッサーはそれぞれ独立してバイパスできます。さらに、EQセクションのPre/Post/Bypassスイッチによって、EQをコンプレッサーの前に置くか、後に置くかを選べます。この切り替えが音作りにどう効くかは、動画の後半でまとめて扱われます。

ステレオ幅プロセッサー

モノモード

左入力のみにパッチした状態では、ステレオ幅プロセッサーはモノからステレオへのコンバーターとして動作します。ここで使われているのは、Haas効果(複製した信号の片方を数ミリ秒遅らせて左右に振り、ステレオの広がりを知覚させる心理音響的な手法)と、Mid/Side処理(左右チャンネルの和と差に分けて操作する手法)の組み合わせです。

Widthノブが0のときは、エフェクトは完全にバイパスされます。0から50%へ回していくと効果が徐々にフェードインし、モノからステレオへの変化を連続的にコントロールできます。50%の位置では、元のモノ信号がハード左、ディレイされたコピーがハード右にパンされたフルステレオの状態になります。

50%から100%の範囲では、ドライとウェットのペアにMid/Side処理が加わり、差分信号の割合が増えていく「スーパーステレオ」の領域に入ります。

Width CV入力(0V〜+5V)を使えば、ステレオ幅を外部からコントロールできます。動画では、LFOをこのジャックに入れてステレオ幅を周期的に揺らす例が示されています。

ステレオモード

右入力にケーブルを挿すと、ステレオ幅プロセッサーは自動的にステレオモードへ切り替わります。ステレオモードではディレイは使われません。

Widthノブが0のときは、ステレオ信号が完全なモノミックスに折り畳まれます。0から50%では元の左右の内容が徐々に戻り、50%で本来のステレオイメージになります。50%から100%では左右チャンネルを互いに減算するMid/Side処理が加わり、ここでもスーパーステレオの領域に入ります。

つまり、同じWidthノブが、モノ入力時は「ステレオ化の深さ」、ステレオ入力時は「モノ折り畳み〜スーパーステレオ」のコントロールとして働きます。

EQセクション

フィルター構成と信号順

EQセクションの信号は、ハイパス、ローシェルフ、ミッドレンジベル、ハイシェルフの順に通り、最後にEQ出力のアッテネーター(EQ Level)を通過します。

各バンドの周波数はボタンで選択します。フルパラメトリックEQではなく、バンドごとに用意された固定周波数から選ぶ方式で、これはロータリースイッチで周波数を選ぶNeve 1073 EQを参考にした設計だと説明されています。ボタンでの選択内容は保存され、次回の電源投入時に復元されます。

EQゲインモード(±5dB / ±15dB)

各バンドのブースト/カット幅は、ローシェルフのボタンを2秒間長押しすることで切り替えます。±5dBモードは繊細な調整向けで、マスタリング的な精密なコントロールに使います。±15dBモードは大胆な音色作り向けです。

動画では、±5dBモードにするとフィルターの形状がより緩やかになり、ミックスへの繊細なコントロールに向くと説明されています。ハイパスフィルターのスロープはこのモードに連動し、±15dBモードでは18dB/oct、±5dBモードでは6dB/octのカットになります。

ハイパスフィルター

ハイパスのコーナー周波数は50Hz、80Hz、160Hz、300Hzの4つから選べます。すべてのライトが消えている状態はバイパスです。動画では、各周波数での効き方が順番にデモされています。

ローシェルフ

ローシェルフは35Hz、60Hz、110Hz、220Hzの4つの周波数を持つブースト/カットバンドです。動画では各周波数を最大までブーストした状態で聴き比べが行われます。35Hzは耳よりも身体で感じるようなサブ帯域の補強、60Hzは低域の量感、110Hzはローミッドとベース帯域の輪郭、220Hzはローミッド寄りの持ち上げに効きます。

動画では、ハイパスで低域をいったん削ってからローシェルフで戻すテクニックも紹介されています。DCや超低域などヘッドルームを圧迫する成分を取り除いたうえで低域を補強し直すことで、より引き締まった低域が得られる手法です。LEQAのハイパスがローシェルフより前に配置されているのは、このテクニックを想定した設計です。

ミッドレンジベル

ミッドレンジベルのセンター周波数は360Hz、700Hz、1.6kHz、3.2kHz、4.8kHz、7.2kHzの6つです。トラックの主要な音声情報の多くが集まる帯域を扱います。

1.6kHzから4.8kHzの帯域は、ボーカルやメロディーライン、トラック全体の存在感を補強するスイートスポットとして紹介されています。

ブーストだけでなく、カット方向の使い方も示されています。ミッド帯域を削ることで、周波数マスキングによって埋もれていた音のレゾナンスを取り除いたり、トランジェントの明瞭さを引き出したりできます。

ハイシェルフ

ハイシェルフは10kHz固定です。この帯域は空気感やリバーブの響きが強調されることから「エアバンド」と呼ばれます。ブーストすると単純な高域の持ち上げにとどまらず、ミックスの存在感や空間の広がりが引き出されます。リバーブ成分の多い音源に対して特に効果的です。

EQ Levelとクリップライト

EQ LevelノブはEQセクションの出力レベルを調整するアッテネーターで、専用のクリップライトが付いています。EQセクションでのクリップはここで確認できます。このノブは単なる音量調整ではなく、EQをコンプレッサーの前段に置いたときにコンプレッサーへの入力レベルを決める役割を持つため、後述のルーティングと深く関わります。

コンプレッサーセクション

光学式コンプレッサーという方式

LEQAのコンプレッサーは、LA-2A光学式コンプレッサーをベースにした設計です。光学式コンプレッサーの内部には入力オーディオで駆動される小さな白熱電球があり、電球が明るく光るほど信号が抑えられます。

電球の充電・放電はゆっくり進むため、アタックとリリースが遅く、いわゆる「グルーイー」でウォームな質感が生まれます。この物理特性こそがLA-2Aが評価され続けている理由だと説明されています。

Amountノブとゲインリダクションメーター

Amountノブは、かかるコンプレッションの量をコントロールします。ノブを上げていくと、ゲインリダクションメーターが下がっていき、信号がどれだけ圧縮されているかを視覚的に確認できます。

Amountの途中には、ポンピング的な効果が生まれるスイートスポットがあります。さらに上げていくと、オーディオはよりクリニカルにフラットへと均されていきます。

Comp / Bypass / Limitスイッチ

コンプレッサーセクションのスイッチは、バイパスとレシオ切り替えを兼ねています。Comp側では3:1の穏やかなコンプレッション、Limit側では10:1のより強いリミッティングがかかります。

Gainノブとソフトクリップ

Gainノブは、コンプレッションで下がった信号を持ち上げるメイクアップゲインです。最大40dBのゲインが用意されており、小さな音源でも十分に持ち上げられます。

±10V付近ではサイン波状のソフトクリップがかかるため、ゲインを積極的に上げて信号を歪ませる使い方もできます。テープやチューブ的な軽いクランチから、はっきりとしたディストーションまで、Gainの上げ方ひとつで作れます。

Mixノブとパラレルコンプレッション

Mixノブは、コンプレッサーを通った信号と元の信号のブレンド量を決めるドライ/ウェットコントロールです。コンプレッサーを深くかけた信号を原音に混ぜるこの手法は、パラレルコンプレッションと呼ばれます。

コンプレッションでトラックの密度を上げつつ、原音をブレンドしてトランジェントのディテールを残す、という使い方ができます。

EQとコンプレッサーのルーティング

光学式コンプレッサーは入力レベルに反応するため、EQをコンプレッサーの前段(Pre)に置くと、EQでの音作りがそのままコンプレッサーの反応に影響します。EQ Levelを調整するだけで、Amountに触れる前からコンプレッサーの効き方を変えられます。特定の帯域をブースト/カットすることで、何がコンプレッサーをポンピングさせるかを決められます。

一方、EQを後段(Post)に置くと、コンプレッサーでダイナミクスを整えてグルーと密度を加えたうえで、EQで特定の帯域を仕上げる流れになります。完成度の高いミックスへ素早く持っていくためのルーティングとして紹介されています。

パッチ例

動画の後半は、4ms Samplerからの音源をLEQAに通したパッチ例のデモです。LEQAのオン/オフを切り替えながらの比較、ステレオ幅のフェードイン、EQバンドを操作しながらのDJ的なパフォーマンスなど、ここまでに説明された機能が実際の音で確認できます。

EP.1はここまでです。今回は、4ms公式チュートリアル動画に沿った、LEQAの3つのセクション(ステレオ幅プロセッサー、EQ、コンプレッサー)の解説でした。

こういうモジュールって、モジュラーシンセの中では結構少ないなと思いませんか? Takazudo個人としては、なんとなくモジュラーシンセのモジュール自体は比較的、CVをコントロールして楽しむ要素が強く、こういったオーディオそのものを高品質に処理する部分にこだわっているモジュールって少ないなぁと解説を書いていて思いまして。

かく言うTakazudo自身については、こういった部分は最終ミックスする際、iPadのAUMというソフトの中で各種プラグインを使って行っていました。正直そのような一部ソフトウェアに頼るのはアリと思っているんですが、このモジュールのように、ノブで直接操作して音の処理を感じられるのはやはり良いなと感じますね。ドラム類とその他用で2つ欲しいな……などと思わされてしまうモジュールです……!

Leveling EQ Amplifier 商品詳細

Leveling EQ Amplifier(LEQA)の商品詳細は以下よりご覧いただけます。