ADDAC Systemより、フィジカルな弦をEurorackに持ち込む新しいモジュールファミリー「ADDAC120s Four Strings シリーズ」が発表されました。以下、プレスリリースの内容を日本語にてご紹介して参ります。
- ADDAC120s Four Strings シリーズ
- コンセプトと開発の経緯
- さらなるモジュールとサウンドのニュアンス
- パフォーマンススタイルと演奏の柔軟性のためのアタッチメント
- モジュールの仕様
- クロージングステートメント
- ADDAC120s Four Stringsシリーズラインナップ
ADDAC120s Four Strings シリーズ
ADDAC Systemより、エレクトロニックミュージシャンのための弦を中心としたパフォーマンスキャンバスを切り拓く「Four Strings シリーズ」を発表。
弦をベースとした新しいモジュールとツールのファミリーが、モジュラーシンセシスの世界における探求と、新しいソニックエクスプレッションの手法を喚起します。



ポルトガル、リスボン発 — 2026年6月17日 — ADDAC Systemは、Eurorackシンセシスにおける「ストリング・レボリューション」を発表します。それがThe Four Stringsシリーズです。まったく新しいタクタイル(触覚的)なモジュールのファミリーで構成されるFour Strings シリーズは、ユーザーがさまざまな視点からフィジカルな弦を探求し、関わっていくことを促すオープンなキャンバスとして設計されており、創造的な実験を後押しします。Four Strings シリーズは7月より出荷を開始します。
コンセプトと開発の経緯
Four Strings シリーズのコンセプトは、ラップスティールギターやダルシマーのように、フィジカルな弦をEurorackへ組み込みたいという発想から生まれました。任意のEurorackフレームへシームレスに統合できるものとして構想されています。ただしフレットボードは持たない構成とし、いくつかの制約はあるものの、弦の下に他のモジュールを設置して使用できるようにしています。
まずヘッドストックとブリッジが開発され、弦が下を通って他のモジュールを設置できるようになりました。その後、通常のエレキギターと同じように弦のサウンドを拾うためのハムバッカーモジュールが開発されました。標準的なハムバッカーの制約から、弦ごとに独立したピックアップを持つクアドラフォニック構成のカスタムピックアップの開発へと発展し、弦ごとの独立したボリュームコントロールが可能になりました。
さらなるモジュールとサウンドのニュアンス
開発チームは続いてメカニカルな自動化の探求へと進み、各弦を独立して弾くプレクトラムモジュールを開発しました。それと並行して、ミュートモジュールも開発されました。これは弦の自然な振動を減衰させることを可能にするもので、ギターにおけるFenderミュートやパームミュートのような働きを、メカニカルに自動化して行えるようにしたものです。
やがて他のモジュールも探求されていきました。その一つがロータリーエキサイターで、回転する磁界を生成し、モーターの回転速度と同じ周波数にある弦を励振します。さらにEbowスライダーという別のモジュールも開発され、ハーネスとスライド機構によって、任意の弦の上でEbowエフェクトを生み出せるようにしました。


パフォーマンススタイルと演奏の柔軟性のためのアタッチメント
新しいモジュールのファミリーを作り出す道のりに加えて、いくつかの便利なアタッチメントも開発されました。その一つがヘッドストックに取り付けるヘッドストックアーチです。これは真ん中の2本の弦を持ち上げることで、ボウ(弓)を使って各弦へ個別にアクセスできるようにします。さらに、小さなプラスチック製のレゾネーターも開発されました。これらを弦に取り付けると、複雑なベルのようなトーンによく似たハーモニクスを生み出すことができます。
そして最後に、これらすべてのモジュールを収めるためのまったく新しい122HPフレームが作られ、システム全体が独立して動作できるようになりました。このフレームに専用電源を内蔵することで、モーターが発生させる可能性のある残留ノイズの混入を防いでいます。また、このシステムは自作(DIY)のビルドプロジェクトとして組み込むこともでき、フレームに代わる独自のものを作り出すことも可能です。



モジュールの仕様
ADDAC120 Headstock & Bridge
これはストリングモジュール群のベースとなる、ヘッドストック&ブリッジモジュールで、最大0.055までの弦ゲージに対応します。穴を大きく加工すれば、より太い弦に合わせることもできます。両パネルは強度のために2mm厚のステンレス鋼を使用しています。ヘッドストックには、弦の取り付けをより容易にする4連のロッキングチューナーを備えています。
ヘッドストック&ブリッジには、ボウアーチアタッチメントと、スモールレゾネーターのセットも付属します。ボウアーチアタッチメントは真ん中の2本の弦を持ち上げ、ボウで各弦に個別にアクセスできるようにするものです。


ADDAC121 Humbucker
これはシンプルなハムバッカーピックアップモジュールです。TONEとVOLUMEのコントロール、そしてサチュレーションのためのLOW/HIGHゲインスイッチを備えています。内蔵のプリアンプがボリュームをシンセレベルまで引き上げます。ピックアップの高さはマウントスクリューで調整できます。また、ピックアップを取り外して手で持って使用することもできます。

ADDAC122 Quadraphonic Pickup
これはクアドラフォニックピックアップで、4つの独立したピックアップがそれぞれ専用のプリアンプ、独立したVOLUMEコントロール、出力ジャックを持ちます。ポストボリュームのMONO MIX出力も用意されています。すべての出力はシンセレベルです。ピックアップの高さはマウントスクリューで調整できます。
各弦を独立してキャプチャできるため、4chでの取り回しが可能です。ハンドワインドのスタックハムバッカー構成で、アルニコ5スラグ、44AWGポリウレタン線を20,000ターン巻いた、コイルあたり約7.4kΩの仕様となっています。

ADDAC124 Plectrums
これはプレクトラムモジュールで、弦ごとにサーボを備えており、専用のプッシュボタン、入力されるトリガー、あるいはMIDIによって、各弦を独立して弾くことができます。プラックモードでは、サーボが約20度動いて、効果的に弦を弾きます。ハーモニックモードでは、サーボは約10度だけ動いて垂直位置で止まり、弦を軽くタップすることでハーモニクスを得られます。
弦ごとのスイッチには3つのポジションがあります。上はトリガーとMIDI入力を無効化、中央はプラックモードですべての入力が有効、下はハーモニックモードですべての入力が有効になります。いずれかのプッシュボタンを2秒以上押し続けるとキャリブレーションモードに入り、ピックの位置を2度刻みでオフセットして精密に調整できます。複数のPlectrumsモジュールを組み合わせ、スイッチで選べる3つのモードを活かして異なる弾き方を設定することで、ダイナミクスやハーモニクスを生み出すこともできます。


ADDAC125 Strings Mute
このモジュールは、一部のJaguarやBass VIギターに見られるFenderのミュートシステムにインスパイアされています。Fenderのものは、フォームを弦に押し当てて自然な振動を減衰させる仕組みです。このモジュールではサーボモーターを使い、フォームを上下させて、弦に押し当てたときに自然な振動を軽く減衰させます。標準的なパームミュートほど効果的ではありませんが、異なるトーンを自動化することを可能にします。
このモジュールを使用するには、サーボをADDAC124 Plectrumsモジュールに接続する必要があります。プレクトラムのサーボの一つを取り外して置き換えるか、付属のスプリッターケーブルを使ってパラレルに接続し、プレクトラムとミュートの両方を同時に動作させることもできます。

ADDAC126 Rotary Exciter
このモジュールは7000RPMのブラシレスモーターを備えており、互いに反対の磁極を持つ4つの磁石を取り付けた面を回転させます。これにより回転する磁界が生じ、回転速度がいずれかの弦のチューニングの周波数または倍音に一致したとき、弦を強制的に振動させます。
SPEEDノブとCV入力により、回転速度を非線形にコントロールできます。

ADDAC127 Ebow Slider
このモジュールは、標準的なEbowのためのハーネスとスライド機構を作り出すものです。ユーザーが弦の下でEbowを前後にスライドさせることを可能にします。使用するEbowには「PianoBow」改造が施されており、Ebowの脚を削り落とすことで、前後にスライドさせる際に弦により近づけながらも接触しないようにしています。Ebowの高さは4つのサムスクリューで上下に調整できます。

ボウアーチアタッチメント
このアタッチメントは真ん中の2本の弦を持ち上げ、ボウが各弦へ個別に届くようにします。
スモールレゾネーター
非常にシンプルなものですが、巻き弦ではない弦にハーモニクスを加えるのにきわめて効果的です。弦に取り付けたレゾネーター1つにつき新しい倍音(パーシャル)が1つ加わり、複数取り付けるほど倍音が増えて、トーンはますます複雑になっていきます。各ハーモニクスのチューニングは、弦上のレゾネーターの位置によって決まります。結果として得られるサウンドは、ベルのようなトーンによく似た、かなり驚くべきものになることがあります。
ADDAC120F Strings Frame
これはADDAC12Xストリングモジュール専用に設計された、カスタムビルドのフレームです。
このフレームはFour Strings シリーズのすべてのモジュールを収めるよう設計されていますが、ユーザーがシステムに組み込みたい追加のモジュールへ電源を供給するためにも使用できます。
フレーム仕様は以下の通りです。
90〜240V AC プラグ、ヒューズドロワー付き(ヒューズ2個:取付済み1個+予備1個)
122HP
+12V 1.5A
-12V 1.5A
+5V 0.5A(+12Vから生成)


クロージングステートメント
Four Strings シリーズに含まれるすべての製品が、現在入手可能です。Eurorackシンセシスにおける「ストリング・レボリューション」にぜひご参加ください。各モジュールやフレーム、仕様、シグナルフローダイアグラムを含む詳しい情報については、当店Webサイトの以下のリンクよりご確認下さい。

ADDAC120s Four Stringsシリーズラインナップ
Four Stringsシリーズは、単体でご購入いただけるほか、バンドルでの販売も行っております。当店での扱いはフレーム無し版のADDAC120BS Strings Basic Systemのみになります。追加のセットアップをご希望の場合、別途シリーズ内のモジュールを合わせてご検討頂けますと幸いです。
モジュール / フレーム
4連ロッキング・チューナーを搭載したヘッドストック(17HP)とブリッジ(6HP)のセット。弦はギターと同様に取り付ける。2mm厚ステンレス鋼パネルで、弦の下に他のモジュールを設置できるオープン構造。弦セット(.010〜.046)、ボウアーチアタッチメント、スモール・レゾネーターが付属。

内蔵プリアンプでシンセレベル出力に対応した10HPのハムバッカー型ピックアップ。TONEとVOLUMEノブ、LOW/HIGHゲインスイッチを装備し、取り付けネジで高さ調整が可能。ピックアップを取り外して手持ちで使うことも可能。

4弦それぞれを個別に出力する14HPの4chピックアップ。各弦に専用のプリアンプ、VOLUMEノブ、独立した出力ジャック(STRING 1〜4)を搭載し、ポストボリュームのMONO MIX出力も装備。コイルはすべて手巻き(アルニコ5スラグ、44AWGポリウレタン線、約7.4kΩ)。

各弦に1基のサーボを搭載した14HPのプレクトラム(ピック)モジュール。プッシュボタン、ゲートトリガー、USB/TRS MIDIで制御でき、弦を弾く「Pluckモード」(約20°動作)と弦を軽くタップする「Harmonicモード」(約10°動作)を切り替え可能。最大3基までデイジーチェーン接続に対応。

フェンダーのミュートシステム(ジャガーやBass VI)にインスパイアされた10HPのサーボ駆動ミュートモジュール。フォームパッドを弦に押し当てることで弦振動を軽く減衰し、パームミュートとは異なる独自のトーンを生む。ADDAC124のサーボに接続して制御するパッシブモジュール。

7000RPMのブラシレスモーターが4つの磁石を回転させ、弦の共鳴周波数(またはその倍音)とモーター回転数が一致したとき弦を励振する10HPモジュール。SPEEDノブとCV入力で回転速度を非線形制御でき、エレキギターの弓奏に似た効果を生み出す。

16HPのEbowスライダーモジュール。「PianoBow」改造(フット部を削り取り弦に接触しない加工)を施したEbowをレールに取り付け、全弦の下を左右にスライドさせることができる。サムスクリューで高さ調整可能。Ebow付属。パッシブモジュール(電源不要)。

Four Strings システム(バンドル)
当店でお取り扱いするADDAC120BS Strings Basic Systemは、弦を張るためのベースとなるADDAC120 Headstock & Bridge、弦の振動をピックアップして音声として取り出すADDAC121 Humbucker、そして弦を物理的に励起させて持続音を生み出すADDAC126 Rotary Exciterの3モジュールをまとめた、Four Stringsシリーズの入門構成です。専用の122HPフレーム(ADDAC120F)は含まれないため、お手持ちのEurorackケースと電源に組み込んでご使用いただく前提となっています。まずはこのベーシックシステムで「弦を鳴らす」ための最小構成を揃え、そこへADDAC122 Quadraphonic PickupやADDAC124 Plectrums、ADDAC125 Strings Mute、ADDAC127 Ebow Sliderといったシリーズ内の各モジュールを必要に応じて加えていくことで、演奏スタイルや音作りの幅を段階的に広げていける構成になっています。
ADDAC Systemについて
ADDAC Systemはポルトガルのモジュラーシンセメーカーです。
アナログ良さを生かした、ベーシックな機能をしっかり形にしているモジュールラインナップを基本としつつも、CVをMIDIに柔軟にコンバートしたり、高度にコントロール可能なグラニュラープロセッサー等、デジタル技術もうまく調和させた独創的なモジュールも数多くリリースしています。
今回はADDAC Systemより発表された、ADDAC120s Four Strings シリーズのご紹介でした。
弦そのものをEurorackに持ち込み、ピックアップ/プレクトラム/ロータリーエキサイター/Ebowといった複数のモジュールでアプローチするという、かなり実験的なシリーズになっています。Takazudo個人的にはわくわくする楽器だなという印象を強く持ちました。イントロの紹介動画等、是非ご覧頂ければと思います……!

