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ADDAC705 VC Stinggy Filter 解説 EP.2: フィルタータイプと実践的な使い方

ガイド: ADDAC705 VC Stinggy Filter 解説 EP.2: フィルタータイプと実践的な使い方

著者: Takazudo | 作成: 2026/07/06

ADDAC705 VC Stinggy Filterの解説シリーズ EP.2です。EP.1ではフロントパネルのコントロールと入出力を確認しました。今回はそれらを実際に使いながら、フィルタータイプごとの音の違いや、出力をミックスした応用的なパッチ、さらに自己発振を使った音源としての活用までを、デモ動画に沿って解説していきます。

基本のセットアップ

デモではまず、シグナル入力にシンプルなシーケンスを入力し、CV入力にはLFOをパッチしています。これでフィルター周波数がLFOによってゆっくりと動く、定番のセットアップができあがります。

この時点でフィルターはLP(ローパス)モードに設定されています。ここからFrequencyノブを上げていくと、カットされていた高域が開いていき、音が明るく変化していきます。

シグナル入力にシーケンス、CV入力にLFOをパッチした基本のセットアップ

ディストーションを加える

次に、EP.1で紹介したディストーションのスイッチをオンにしてみます。ここで思い出したいのは、ディストーションが影響するのはメイン出力だけだという点です。

Stinggyのディストーションは、信号を完全に潰してしまうような激しいものではなく、倍音を加えて音に厚みとキャラクターを与えるタイプの歪みです。原音の輪郭を保ったまま、サチュレーション的に音を太くしていきます。

ディストーションをオンにした様子。メイン出力にのみ作用し、倍音を加えて音を色付けする

レゾナンスと4種類のタイプ

続いてレゾナンス(Q)を見ていきます。Stinggyのレゾナンスはレンジが非常に広く、上げきると自己発振(セルフオシレーション)してフィルター自体が音を出し始めます。

ここでEP.1で触れたClippingDepthのスイッチが効いてきます。クリッピングの方式(LED / ダイオード)を切り替えるとレゾナンスの反応が変わり、Depthを「Low」にするとフィルター全体の振る舞いも変化します。

レゾナンスはレンジが広く自己発振も可能。Clipping/Depthで反応のキャラクターが変わる

ClippingとDepthはそれぞれ2通りあるため、組み合わせると合計4種類のレゾナンスタイプになります。さらにディストーションも併用すると、Stinggyのレゾナンスは本領を発揮し、攻撃的で個性的なサウンドが得られます。

Clippingタイプ×Depthタイプで4種類のレゾナンスタイプが得られる

パッチ2: BP・NP・HP のフィルタータイプ

ここからはLPを離れ、他のフィルタータイプを聴き比べていきます。

バンドパス(BP)

BP(バンドパス)は通過する帯域の幅が狭いため、そのままだと音量が小さく感じられます。デモではこれを補うためにInput Gainを上げています。フィルタータイプを変えると、同じQ・Clipping・Depth・ディストーションの設定でも、まったく違った響きになります。

バンドパス(BP)は帯域幅が狭いため、Input Gainを上げて音量を補っている

ノッチ(NP)

NP(ノッチ)は、特定の帯域だけをカットする特殊なフィルタータイプです。そのため、Stinggyのレゾナンスもかなり攻撃的に反応します。クセの強い質感を狙いたいときに面白いモードです。

ノッチパス(NP)は特殊なフィルタータイプで、レゾナンスがかなり攻撃的に反応する

ハイパス(HP)

HP(ハイパス)は、LPと同じようになめらかなフィルターカーブを持っています。低域をカットして音をすっきりとさせるのが基本ですが、デモではHPにディストーションを組み合わせる使い方も紹介されており、これが相性の良い組み合わせになっています。

ハイパス(HP)はLP同様なめらかなカーブを持つ。ディストーションとの組み合わせも好相性

パッチ3: 出力をミックスする

Stinggyの個別出力を活かすと、さらに踏み込んだフィルター特性を作り出せます。

デモでは、メイン出力とノッチ出力をミキサーに送り、両者を同じレベルに揃えています。その状態でメイン出力の位相を反転させると、2つの出力が混ざり合う際に特定の周波数が打ち消し合い、単体では得られないフィルターカーブが生まれます。

メイン出力とノッチ出力をミキサーに送り、同じレベルに揃えてミックスする

さらにFrequencyノブを回すと、2つの出力のミックス具合が刻々と変化し、常に異なる効果が得られます。ディストーションはメイン側の回路にしか存在しないため、メイン出力に加わった倍音がミックスをより複雑で面白いものにしてくれます。効果は控えめなこともあれば、かなり大胆になることもあります。

メイン出力の位相を反転すると、ミックス時に特定の周波数が打ち消し合う

メイン出力のフィルタータイプをLPから他のモードへ切り替えれば、ミックスの組み合わせはさらに無数に広がります。Stinggyだけで延々と音作りの探求を続けられるほどの自由度があります。

パッチ4: オシレーターとして使う

最後に、Stinggyを音源として使う方法です。レゾナンス(Q)を上げて自己発振させ、CV入力にピッチ用のCVをパッチすれば、フィルターがそのままオシレーターとして機能します。

レゾナンスを自己発振させ、CV入力にCVをパッチしてオシレーターとして使う

自己発振させた状態では、各フィルターモードで音色がわずかに異なります。さらにディストーションをオンにすると、波形はスクエア波に近いキャラクターへと変化します。デモではこの音源を使ったグリッチ風のドラムビートも披露されており、Stinggyが単なるフィルターにとどまらない楽器であることがよくわかります。

自己発振にディストーションを加えると、スクエア波に近い音色になる

EP.2はここまでです。ADDAC705 VC Stinggy Filterは、LP/BP/NP/HPのフィルタータイプ、4種類のレゾナンスタイプ、メイン出力へのディストーション、そして個別出力を使ったミックスや自己発振による音源化まで、わずかな操作で驚くほど多彩な音色を生み出せるモジュールでした。フィルターでありながら、サウンドメイキングの中心に据えられるほどの懐の深さを持っています。

なお、本記事で参照しているデモ動画はADDAC Systemの公式動画です。実際の音の変化はぜひ動画でお楽しみください。

ADDAC705 商品詳細

ADDAC705 VC Stinggy Filterの商品詳細は以下よりご覧いただけます。